バ・オバブ
……とある蛙

逆立ちする樹は
王子の星を三本で覆い尽くし
そのうち星は崩壊
逆立ちする樹は
なぜか地球の一角に
サンテグジュペリの祖国の支配
沢山の奇跡の巨大な島
地上の奇観 バオバブの森

漂流するキツネザルの
行く着く先の巨大な島
その島の荒野に
一群のビル街
それは影のようなもので
朝日と共に屹立する
バオバブの樹の森

太く堅い幹をもつ巨木
キツネザルの終着点に聳え立ち
彼らを見下ろす。
荒野で尤も天に近い
逆立ちした樹の枝葉
巨人が引っこ抜いた樹の根っこ

バオバブの花の受粉
それを助ける鼠キツネザル
奇妙な共存関係に
バオバブの森の生命線

雲一つない満天の星空を背景に
すっくと並び立つ数十本の
バオバブの樹
下草は目立たなくなり
キツネザルが蹲(うずくま)る。

幹の先にやや滑稽な枝振りを見せ
人類が住み着くずっと以前から
かの島の守護神として屹立する
本当に樹なのだろうか
冬に葉を落としたかの樹は逆立ちしている

バ・オバブ
地球はまだこの樹には喰われまい。
この樹が育つ環境は次第に減ってゆく
壊れてゆく
バ・オバブ



自由詩 バ・オバブ Copyright ……とある蛙 2011-02-17 17:02:00
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