影と記憶
佐倉 潮

一日の仕事を終えて
暗い家路をたどる
もう一息という坂道で
電信柱の影から人が
すうっと抜け出てきた
ような気がした

だけどそれは唯の
光の加減だった

一瞬あなただと思った

いつだったかあなたは
そんな風に僕の帰りを
待ってくれていて
僕がびっくりしたのも
少し楽しそうだった


自由詩 影と記憶 Copyright 佐倉 潮 2011-02-13 22:43:42
notebook Home