それでも私は翌日に居た




手に取った朝が するりと零れ落ち
それでも私は翌日に居た

あっけなく終わりは来るが
待っているとやって来ないものなのだと
終わる前の彼女が言った
その言葉を
水面に浮かべて 沈むのを待っている


+


夕暮れがまた
圧倒的なスピードで
窓から見える風景を追い越して
何も言えないまま
何も言えずにいた


+


ふっと消えてしまいたくなる瞬間には
必ず「人」がやって来る
その手は温かく
無条件に優しく
そして


怖い


+


最期のページを捲り
本を閉じようとする時
そこまでの 長い長い物語を思って
深く 深く 息を吐く
そんな人たちの隣で
彼女は1人
書かれなかった続きに思いをはせて
存在しないページの中を漂っていた


+





+


また翌日がやって来る
両手に何1つ持たず
ノックさえすることはなく
ただ静かに 気がつけばそれはここに来ている


私は今日も 
ただ もがきながら
漂っていた
彼女が存在しないページの上を
もがき方も まだわからぬままに
翌日へ向かって 
漂っていた







自由詩 それでも私は翌日に居た Copyright  2011-02-12 23:24:54
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