終わりの始まり
AquArium

やっと差し込んだ淡い光
入りこむ小さな隙間が
少しずつ確実に塞がれていく

引き戻そうとする悪魔を
今回ばかりは操作できないよ
嵐は誰にも止められないように



――薄暗い部屋のオレンジのライト
反射したシルバーのネイルも
君の目に映るための小さな演出



シャンディガフを一口
ツンと甘い喉の奥が言葉を飲み込んでしまう炭酸のいたずら――



不気味に笑う遠くの悪魔は
今宵の僕を知ることはない
もう振り切れる準備はできている

凍みる風も震えた大学の裏道も
かじかむ指先でさえこのまま
永遠になれと願えたんだ



――心地よい気だるさに包まれた3軒目のBAR
車も通らない深い夜の出来事で
見つめる先はただ君の手



溶け込んだ煙草の苦さとアルコールが身体を包む時
シルバーのネイルが光る前の「最初から気づいていました」――



夜明けが近づく
届けと目を瞑って夢の中へ
悪魔は俯いて消えた


自由詩 終わりの始まり Copyright AquArium 2011-02-12 12:40:23
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