マス
番田
日差しのない日に眠りに落ちていくのは何故だろう
一体 誰なのだろう 俺は
流れていく日の中で 風の流れる
そこで 様々なことを考えている
もみ消されていくものたちの中で
俺はいったいどうなっていくのだろうと思っていた
すべては 一体 何故だったのだろう
夢の中に俺の思いは貯蔵されている
テレビ番組で見たことのある風景が見えた気がした
場面ごとに 言葉と音楽で装飾されている 風景
何にも見る気もしないのなら
今すぐベッドに潜り込んで眠ってしまえる自由
*
ラテン語を喋りながら 旅行を続けるのは楽しい
出会ったこともない人たちと 肩を並べながら どこに行くのだろう
安全といったものは いつも 約束されている気がした
今日も名の知れないバーに立ち寄って
食べたことのない野菜や肉の類を腹に詰め込む
拘束のない 世界の中で
夢を見ていたのは 一体誰だったのだろう
未来とは 何だったのだろうと 考える
焼けこげたような 公園の中で
破り捨てられた 菓子パンの袋が転がる
うぐいすパンの味を思い出しながら
二度と戻ることのない 渡航地のことを思い出す
湖に見つめる 波紋の中に 見たことのない 海草を見た
*
川魚が間近で何度も跳ねる
帰る金を無くした チケットの半券を握りしめる
イスタンブールから どうやって イタリアに戻るのか
深夜の波止場に立っていれば 案内人がやってくるから
そいつと交渉しろと 通りすがりのブラジル人に言われたばかりだ