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美音子
いっそ全て壊してしまおうか
生い立ちも
感性も
脳裏に浮かぶ顔も体も
景色も
音も
この声すらも
寄りかかる事は罪であると
植え付けたのは他の誰でもない
あの時の あの言葉
"手を差し伸べる強さを"
フラッシュバックする
徐々に 徐々に 徐々に・・・
今ならば少し分かる気がする
いつか必ず体を埋めるまでは
決して知ってはいけない向こう側
決して覗いてはいけない向こう側
引き違えた線と
踏み込まずにいた意識を
忘れる術を持たずに
一人で陥る事を切望する
愛ならば傍らに
何よりも確かに
浮かんでは消え
鮮明に浮かび上がる
繰り返し 何度も 言い聞かせる
飲み込むよりも噛み砕くべきと
振り返り 何度も 目を合わせる
心から嫌悪する理屈を持って
憎しみを憎む 本当と嘘の裏側
恐ろしく冷淡な本性と脆さを
垣間みる度に投げかけてみても
どの道 正解などは存在しない
崩壊の美しさに奪い去られそうで
鏡の前で睨み合いを続ける
無意識と欲求と理性の入れ替わり
引き止める右腕と足先は裏腹に
一段ずつ 螺旋階段を逆さまに駆け上がる
四方に張り巡らされた壁が立ちはだかる
歪んだ空間と時間の穴に突き落とされる
永遠の迷宮に両足を踏み入れてしまう前に
生い立ちも
感性も
脳裏に浮かぶ顔も体も
景色も
音も
この声すらも
いっそ全て壊してしまおうか