コーラップ
番田 


風のない日に立ちつくしている
言葉を誰かの心で手に入れたような気になって
落ちていく彩りの 眠りに
私は誰だろうと思い浮かべる


人でも誰でもないままに
そこで 夢を見ているのかもしれない
橋の上を渡る
車の脇を 通り抜ける
草花を 手に入れる
手にしたものを そこで 捨てる


それは何故だろう
赤や黄色や緑を
瞼の内側に捉える
ぼんやりと
絵筆で 布の上をなぞるように
私は それを 見ていた



自転車の上にまたがりながら
麦わら帽子に花を差すように
少しばかりのときめいた気分が
私には楽しげな気がする


何もない夜に コーヒーの湯気を立てながら
帰るべき場所も 見失っている
幼い子供の頃に
立ち寄った 本屋の中のような
夢のような 光で 満ちあふれていた
それは とても 素敵な場所だった
そうではないのなら
今の私は 存在しなかっただろう
そんな気がする


この暗い夜道をどこに帰るというのだろう
街は 何かを隠しているようだった
この国の将来は ないのだと
誰もが 口をそろえて 言っている
歌っている 路地裏で
希望を叫ぶのはとても場違いな話しだ



自由詩 コーラップ Copyright 番田  2011-02-03 02:27:33
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