『ピノキオ』
東雲 李葉

:イタリアの児童文学
:社会風刺小説
:「幸せに暮らしましたとさ」


幸せに暮らしましたとさ


幸せとは何なのだろう。
人間になることが幸せなのだろうか。
人はそんなに素晴らしいものなのか。
ゼペットの糸はもう必要無いのか。


それじゃどこにでも行けてしまうじゃないか


自分の意志で動けたら。
自分の足で歩けたら。
あの人がくれた身体なのに。
あの人がいなくても。


人間だから(あなたが無くても)生きていける


(あなたが無くても)
あなたが無くても
あなたが沈んでも
あなたが亡くても


「幸せに暮らしましたとさ」


幸せとは何なのだろう。
嘘が嘘だと分からない。
そんな生きものになりたかったのか。
糸の先には誰もいない。


人間だからあなたが沈んでも


生きていける。
鼻は伸びない。
嘘じゃない。
生きていける。


人形だったらあなたが沈んで


糸が切れてその場に倒れて。
もう動かない。
あなたが無くては生きられない。
生きていく意味も無い。


(でも、)


(人間だから(あなたが無くても)生きていかなくては)


(人間だから)あなたが無くても


自由詩 『ピノキオ』 Copyright 東雲 李葉 2011-01-31 13:57:42
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