はずれなし
プランタン

はずれなしと書かれた頑丈な箱に小さな紙片
くじを引いては一喜一憂しながら
厭きもせず繰り返す男に尋ねる。
あなたはなぜ悲しそうな顔で続けているの?
男は振り返るとにこりとして
予定調和ですから、これしかないので。
と意味不明なことを宣ってまたくじをひく。
風で紙片が宙を舞い手許に落ちたのを
覗いてみると確かにはずれはなく
灰色の紙に灰色の文字で
これが人生だ、と書かれていた。


自由詩 はずれなし Copyright プランタン 2011-01-26 07:22:56
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