日没
skc

大きな真白の紙を半分に折りました
爪で痕をつけて、手でちぎりました
何度も繰り返して
たくさんの長方形を作ったら
ホチキスで留めて
本にしました
最初のページには「はじまり」
と書きました
最後のページには「おわり」
と書きました

先生が言いました
「もう「おわり」って書いちゃうの?」
何を書いたらいいか分からないのを見透かされているようで
とても恥ずかしくなりました
最初の記憶です
つまりは子供のころから体裁ばかり気にしていたのです
はじまりとおわりがはっきりしない本もあります
そんな本を知らなかったのです

人前に出るのが大好きな半面
一人で出歩くといつも赤面していました
新しい体操を作って皆を笑わせる一方
みんなに怯えていました

そのうち精神の安定のために
分析的に考える事を始めました

自分を卑下する人は
他人を蔑んでいるのでしょう

私はみんなを愛しています
憎んでいます
いや
なにも感情を抱いていないのです
私は人間肯定ためのファルスを肯定します

私は今とてもすっきりしているのです
私は私にとっての真人間です

思い出のない日々、そして青春はいつまでも終わりがなく
憧憬ばかりが募るのでしょうか

こまかい思い出を積み重ねて生きる君へ


自由詩 日没 Copyright skc 2011-01-25 02:34:24
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