ひかりのや
……とある蛙

碧い海に円く赤い太陽が輝き
青い空には白い波頭が遠望できる
赤い雲のたなびく先には
山の端が曖昧な稜線を見せて消えて行く
樹木は影しか形成せず
息づく季節はすでに過ぎてていた


闇と獣の遠吠え
猛禽類の嘶きと
小動物の恐怖
天空には黒い月
地上には夜行性小動物の
目の輝き

夜の経過

明るくなるはずの未明の時間
突然光の矢が山端から拡散し
日常への回帰を伴う日捲り(ひめくり)の指
山裾は次第に薄明かりに晴れて
朝の訪れに鳥が囀(さえず)る
新しい何かを求めるわけではないが
森の木々は朝露を含んだ緑に覆われ
森との間の赤茶けた道は延々と続く
光の矢の一端が目眩ましになって
全て白色に発光した雲海上の出来事のように
すべての過去を拡散させる

つまり再生の時だ。


自由詩 ひかりのや Copyright ……とある蛙 2011-01-24 17:08:13
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