who did not survived
mizunomadoka

ビルから落下して助からなかった者は、いない
海から、泳いで戻った者はいない

廃墟になった港町に
一人の男が住んでいた
私が住んでいた

男は私は塩の濃い土を耕して
野菜を育てた

雪の降る冬には
死んでしまうだろうと思えた

波と風の海鳴りが、すべての音だった
私の声をかき消した

男は海岸沿いを歩き
貝殻を集めていた

石で砕いては土に混ぜる

冬が近づいて
食べるものがなくなった
漁師小屋に火をつけた

この炎だけが、命だった

温度の差で
私よりも先に、雪が地面に触れた。







自由詩 who did not survived Copyright mizunomadoka 2011-01-19 00:09:37
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