ツンデレ哀歌
斎藤旧


朝靄ののぞく
窓の水滴に触れたら
一滴が硝子を撫でた
一筋の道筋を作って
いくつかの水滴を巻き込んで

流れていって下のほう
ぺちゃんと爪先が濡れた
じわりと広がる水滴が
ひんやりわたしを責めていく

つめたい外と
わたしの内部

結露した感情を君に
伝えたらどうなるんだろう

一筋になってさわれるの?
爪先に触れてひろがるの?
そうしてひとつにつながるかしら?




リボンを結んで
制服の裾を整え
マフラーの具合を確かめ
ローファーのかかと鳴らせば
ほら君の待っている駅前

吐く息も白い君が
ふわりと振り返ったとき
こんなに近くに見えたから
わたしは思わず目を反らす

君を遮断する
わたしの硝子

結露した感情を君に
伝えたらどうなるんだろう

一筋になってさわれるの?
爪先に触れてひろがるの?
そうしてひとつにつながるかしら?




いつものように笑えてる?



自由詩 ツンデレ哀歌 Copyright 斎藤旧 2011-01-18 01:27:15
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