きこりの決心(とある逸話)
shena0318
あるところに木こりがいた。
ただ木をきるだけの毎日だった彼
木をなにかのために切っていたが、なんのためかは分からない。
木こりはうつを患ってしまった。
木こりを木を切ることを忘れ
海で泳ぐ喜びだとか、美しく咲く花の香りだとか、女の美しい体の特徴だとか、
なにも知らぬままこの世を去った。悲しい話である。
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あるところに木こりがいた
ただ木をきるだけの毎日だった彼
しかし運の良いことに彼はあるとき「決心」したのだ
何がきっかけか分からないが
「木を100万本切って家の前にそろえておく」
彼は決心したのだ。
毎日、毎週、毎年、数本ずつ木をきりCOUNTする。
1345、1378、1692、34265…
ついに彼は100万本達成した。すごく端的な結果。
彼はその木で家をつくった。そう多くの家。ひとつくらいの町。
彼はその町で夜な夜な催される楽しい宴に感動し、美しい画家が描いた蓮や魚の絵に感動し、老人を気遣う優しい子供に感動し、
人々が喜び、歌い、躍動する姿に感動し、その町で人と人が支えあう姿に感動したのだった。
彼は満足げな表情でこの世を去った。彼の「決心」はかけがえのない多くのものに成ったのだった。