帰路
モリー

こんなに悲しい帰り道が
蛇行しながら現実までのびている

黒く長いそれを
私は切なくなりながら
ひたすら歩く
歩く

白銀の丘陵に連れていってくれた
未完成な公園に踏み固められ出来た小道が一本
彼と埋もれながら清い大気を感じた
転ぶ私を助けはしないが
彼の語尾は心地よかった

いつだって私には
道がちゃんと与えられていると
彼は見透かすし
私の不安も上手に汲み取る
またいつか、と彼は笑った

この道に果てはあるだろうか
山に入る手前で私達はUターンしたけれど
きっとそんな甘くないんでしょう?
届かなくてもいいなんてプレッシャーはいらない

だんだんと、彼から遠ざかっていく
雪道に在った二人の影は
夢の色を濃くしていく

百歩目で小言を吐いた
「抱きしめたかったな」
帰路の中途で私は
一つの人間になって
彼を愛した


自由詩 帰路 Copyright モリー 2011-01-12 06:04:47
notebook Home 戻る