デっど ・オあ・あらいヴ
大村 浩一

こんなにも多量の糞が出るのなら
 俺は当分死にそうにない

食当たり何を食っても粘土味
 油あげ一枚で死ぬかと思った

自転車のオカンがスロープ落ちてきて
 駐輪場で死ぬかと思った

通勤鞄に「ふたりエッチ」忍ばせる
 社会的には死に急いでる

親不知抜いた夜半に大出血
 開院前で震えつつ待つ

素人が蛇口いじってどどどどど
 これが酸なら死ぬよと素子

こんなにも多量の糞が出るのなら
 やっぱり俺は死ぬかも知れない

おさな児の80年後を想像す
 その時俺はどこにも居ない

明産の田原会長かく語る
「生きてりゃ致死率100%」

会長の妹倒れかく語る
「癌では死なぬ寿命にて死ぬ」

おさな児に「どこから来たの」と問いかける
少し考え首をふるふる

母親が便秘で入院諦めた
 まだまだ俺は死ねそうにない

その母が熱中症で虫の息
 赤子の様にプリンを食わす

死の顎逃れて老いた伯父眠る
 酒で散らしたいものばかりだ

アトピーもヘルニアも皆「気のせいや」
「夢や」と言って気合いで直す

こんなにも多量の糞が出るのなら
 君は当分死にそうにない


2010/7/15〜2011/1/11
大村浩一


短歌 デっど ・オあ・あらいヴ Copyright 大村 浩一 2011-01-12 00:54:18
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