茶殻

白いカーテンの影で
鳥の魂が飛んでいくのを見る
ほくそえむあなたは
ほくそえむぼくと

古いことばは嫌いなのよ
流行らない歌も
流行った歌も
やがて錆びてしまう、手当てできない

 『奏でる
  (かな・でる)
  1、舞を舞う。古事記(下)「手を上げ膝を打ち、舞ひ―・で歌ひまゐり来つ」
  2、琴などをかきなでて鳴らす。音楽を奏する。「名曲を―・でる」』    (広辞苑第五版)

ラジカセは淡々と棋譜を読む
駒は四角いコロッセウムから落下するべく前進を続け
玉は一足先にかかとから踏み外す
宇宙はまだ続くのだろうか、ぼくはベランダから落下しても

五線譜のベッド、で
女がくねる、
気付かなくてごめんね、と、
線を結ぶ作曲家はプロ、愛の?

ルビー、何号だっけ
指、生えてたっけ
お前、愛してたっけ、
お前、生きてたっけ

手錠をかけたあなたは
優しかった
優しさを騙るような
狡さのない人だった

影は白く、機械のように雪が降る
急な話だ
子供を抱き上げる母親の手袋が
片方しかない


自由詩Copyright 茶殻 2011-01-09 21:06:28
notebook Home 戻る 未来