血 (2004.10.29)
和泉 輪


皮膚のすぐ下は清冽
流れゆく血が私を
結びつけているのだ
家と人と肉と そして
全ての生きているものたちと


血によって私は
辿り直されることを許す
血によって私は
絶えず内側から洗われる


確かに私の血は赤い
ゆえに夕陽が懐かしく
空の青さに憧れる
私は女性のように流せない
命を課せられたが為に
流されてゆく血を
私は弔うことも出来ない


私が最後に流したのは何時いつだったか
既にそれさえ忘れてしまったが
眼を閉じると見える
私の血を泳いでいるのは今も
痩せて瞳ばかりが爛々と輝く
あれは少年の日の僕でした



自由詩 血 (2004.10.29) Copyright 和泉 輪 2004-10-29 16:53:19
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