視えない人
usoni

わたしと冷たい雪のあいだには
乾きすぎて溺れていくまっしろな手をつなぐことすらしなかった
切りすぎた前髪だけを、すうはいする


静かに死ぬ意味はしっていたし
わたしの吐く惑星がしろいのは、そこだけ透明だったからだ
(じかんは常に止まっている)
あなたのツメがしろいのは、あなたがじゅうぶん若いから
まだ
冷たいのだから

夏がとけて愛になる、サバク
さがすなら
わたしと冷たい雪の
あいだの、
小さなオレンジ色の背骨に
触れるだけでよかったのに


左手がみえた、これはわたしの右手だろうか?
すうはいしていた血管は、なぜこんなにも温かいのか?
わたしと冷たい雪のあいだには、
時間だけなかった
目さえ無ければ、あなたを視ることができたのに



自由詩 視えない人 Copyright usoni 2010-12-31 21:19:42
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