スサノオ
……とある蛙

伊弉諾(イザナギ)の鼻から生まれた素戔嗚尊(スサノオ)は
母と逢ったことも無く
それでも母恋しさに泣きわめく

八拳須心前
(やつかひげむなさき)にいたるまでなき
いさちき青山は枯山なす。
河海悉く泣く乾しき。

顔知らぬ母に逢いたくて
近江淡海の多賀に鎮座する
伊弉諾に追放され天に至る。

疑い深いアマテラス
天安河(あまのやすかわ)
うけい(誓約)をしなさい。
この弟を疑って
邪心の有無は産む子の性別
男が出れば邪心なし

素戔嗚尊は

うけい(誓約)により男の子を産み
うけい(誓約)に勝つ。
五〇〇の御統のたまを口に含み左掌に化生する。
勝速日天忍穂耳命 かちはやひ あまのおしほ みみのみこと
やりたいこと仕放題

天界追放
出雲の国に降りたって
ヤマタの大蛇を退治して
草薙の剣をアマテラスに献上し
その後母の待つはずの根の国に

一言主も大国も
みんなみんな素戔嗚尊の子
不思議な不思議な異形の神

素戔社は出雲の境内社
素戔は蘇我と同じか否か
我蘇る姓は一言主と同じ葛城氏か
我蘇り 祖先は藪の中
本当は歴史の闇の中
大化の改新の不当違法
「私が何をしたのか」と
皇極帝に縋り付く入鹿の瞳には
素戔嗚尊の無念が再度
燃え上がる。


自由詩 スサノオ Copyright ……とある蛙 2010-12-30 11:32:51
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