クリスマス
たもつ

 
 
無人のブランコが揺れる
温かくても冷たくても
風はいつもものを動かそうとする
ジャングルジムの天辺に登れた人が
みんなから尊敬されていた時もあった
そんなに昔のことではないけれど
 
非衛生的だ、という理由で
夏休みが始まる前に砂場は撤去された
反対していた人たちも今は何も言わない
忘れる、ということだって
人にとっては大切な仕事だから
 
洋菓子店のケーキの箱を
宝物のようにしっかりと抱えて
女の子が母親の後ろをついて歩く
木や家の壁に飾られた電球たちも
昼は束の間のお休み
その奥では収穫されないままの柚子が
風にまだ耐えている


自由詩 クリスマス Copyright たもつ 2010-12-25 22:10:32
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