キャッチボール
アラガイs


白い球はカーブを描き
握り損ねた手
ほら
頭上を、空高く飛び越え
砂原を駆け上がり
野を越え 谷を下り
小川をながれて
目のまえのどぶ板に 隠れると
あなたは道を横切りしゃがみ込む
追い回された牛皮の匂いと小さな記憶の膜
遠い 遠い…
…遠い
空き地に捨てられた
白い球が
ころころと
遮る盛り土は電線や突然の
雨 / 雨 //
///// 雨に
一ページするる一ページと
破れた漫画の断片が風に煽られたそれは
なんでもかんでもが、丸い球だった

庭を駆けてゆく
あなたの綴じた瞼は吸い込まれ
「バシッ」とミットを揺らす
受けとめた手のひらの感触に
ことばを探す遺影の
ほら
「ど真ん中に」
あの宙を飛ぶ白い球が
指の先、手のひらからこぼれて
なつかしく語りかけてきます 。









自由詩 キャッチボール Copyright アラガイs 2010-12-25 19:39:50
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