愚銀
木立 悟






血の声や冬の器の底に降る割れた鏡を受けとめる指



どこまでも此処は何かが生きる場所たとえ多くが絶え沈んでも



冬たちはただ冬のみであるかぎりおまえにそれを告げることはない



白と黒さあ雨を招べ高らかに雪など知らぬ蒼さほどいて



指ひらき指ではない指ふりつづく冬より近く窓より遠く



離れても離れてもただ空は空おろかな銀をまといつづける



八月と十二月の負のサイレンと屋根の高さの津波警報



誰も居ぬ銀の工房かがやいて夜より明るい影のばしゆく



雨を撒く小さな手と手のあつまりが無い星に触れまたたいている



















短歌 愚銀 Copyright 木立 悟 2010-12-24 01:06:55
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