耳、冷えよ!
kawauso

君の家への下り坂を
夜の空気をひきつれて
自転車はひた走っていく

白いコートの女性は
電話越しに笑う
コツコツと地を叩く靴は
打楽器のよう

二人の少年は
マウンテンバイクに乗っている
顔を見合わせ、ニッとして
青白い闇へと消えていく

無人のタクシーは
ぐるるるるるると音をたてる
お腹をすかせて
街に餌食を探しにいく

坂を下れば君の家
耳、冷えよ!
ちくちくと痛むほどに
君のほっぺにつけてやるのだ


自由詩 耳、冷えよ! Copyright kawauso 2010-12-20 21:57:39
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