冬のお金
番田 


白いとても大きな雪だるまにして
思いを流れないのは自分自身の体だ
窓を見ながら一人 ぼんやりと 私は流れる季節を見ていた
また そこでひとつ 流れていた 私は
誰の言葉も見ている そこに なくしている
そこで なんとなく また物語が 始まった
手に もうすでに 私の預金口座の残高は 残り少なかった
言葉の世界の中で冒険は輝いている
そこで また私ではなく 流れていく
私は こっそりそして 手にした


私はティッシュの塊を丸められた手に 
数少ない 一枚のポケットの中の コインだ
白いその手を ジーンズの小さなポケットに つっこみながら
輝きながら流れるそのひとつの意識だけなのだろう
そこで 私はぼんやりとたぶん指先にそれを見ていた
一つもなくしてはいないそこに今は持っている
思いを 私は思いの向こうに転がしていく


私はそこに 誰の思いも なくしている 
暗いアパートの人知れぬ部屋にいた
ぼんやりとホームの角にひとり立ちつくしていた
ゆっくりと ただ そこに流れていくものを


きっと誰かが 一人で そこではたぶん 何かを待っているだろう
金を 引き出した そして 家に持ち帰った それを
とてもそれは暖かな女の子の姿かもしれない
やはり私はそこで 無印良品のノートを今日も買えなかった



自由詩 冬のお金 Copyright 番田  2010-12-20 15:15:18
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