あかみどり
ゆるこ


音のする方へ
感覚を伝わせて
光の曲線を描きながら
死んでゆく触媒

優しさを色で現すのなら
あかみどりを推奨する訳は
血液と瞳の
色だから

空気が凍りつく夜に
童話のように言葉を傾げながら
あかみどりの話をしよう
死んでいった触媒へのレクイエム

つむればはなさない
可能性の域で
かすかにまどろんだ呼吸を
あなたは続けるのだろう


・ ・ ・

あかみどり、あかみどり
そうやって視界を奪いながら
あなたが成長する様を
世界はなんとなく見てる

蛹になったときですら
痛みを痛みと理解しながら
樹木の枝のように/葉脈のように
感染してゆく感情

それは握りしめた掌の内側で
確かに根付き、躍動している
静かな眠りのなかで
くるくると息をしている



・ ・ ・


信号を0としながら
わたしはやがてすべてを飲み込む
それは誰にも理解されない
あかみどりの中の思考

介すべきものは
もはや散り散りになってしまったから
私たちは胸いっぱいに
世界を拾っている




自由詩 あかみどり Copyright ゆるこ 2010-12-20 01:25:52
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