髪に落ち葉、遠い春、陽のある君、微かにさらす肌、冬よ優しくと
tiki
髪に落ち葉、遠い春、陽のある君、微かにさらす肌、冬よ優しくと
あなたの手ある大丈夫、足音の数だけ木漏れ日うまれ
てのひらのなか、握りしめる枯葉の悲鳴上げ、そっと胸にしまう僕の手はあまり綺麗ではないと
顔に落ち葉を、あなた笑う、声ききたい、木の肌に触れるような背中、冷たい温もりの、どうぞ心の、……風にさらわれた言葉にわたしは凍え
踏みしめる小道の傍らで
小道の真ん中の
振り返ってしまうから、君、君がすこし憎いよ
わたしをみとめる、眼差しのあなた
羽根があり、舞落ちる空を飛べたらと無邪気を装う、木漏れ日が肌を刺し貫くわたしに
もう少し先までと君に言う、不確かなのは僕のなかの君と僕で、君ではない、と
四季歩く、コートにマフラー、半袖?ブラウス?
ごま油、そうそう買わなきゃ、今年は野菜も高いねと歩く季節
あなたの落ち葉が砕ける音聞く、夜空に、もう一歩の距離、もう一度わたしは失う、わたしの中のあなただけを
呼吸だけ、呼吸だけが続く森の中、君と僕の場所には落ち葉など始めからない
誤魔化さないでと私の指で、あなたの罪は消えない、消せないものだから
誤魔化してくれと僕の罪で、君が微笑みながら歩く春の道に、溶け残った雪で在りたいなんて僕はもう言わない
点滅の先のあなた
君のあとの誰か
雪降る夜に、逢いたいのは僕だけの僕と君だけの君に
わたしの中のあなた、逢いたいのは、夜に降る雪よどうぞ、優しくと
石の道、僕に会いにちょっとそこまで
石づくりの橋、あなた忘れ、あの人のもとへ
春の日に、陽のある空、朗らかな、優しく去った冬よと口笛を吹く
彼の手ある大丈夫、足音の数だけタンポポの咲く、迎えたのは私と大切な人