ヨワクハナカイゲンジツ
葛西曹達

吐く息の白さと
鳴り止まないアラーム
泳ぎ疲れた夢の中
出ない声で出るモーニングコール

堕落へつながっていると
知っていても手を伸ばす

ジャングルジムの攻防戦は
まだ続いているようで
僕はずっと鉄棒に腰掛け
眺めているだけだった

脈絡あるものへの
抵抗の意志と倦怠感

弧を描け
淡く太く滑らかな線で
結びつける事実と虚構
未開の地などありはしない

ここにいることが全てさ
使い古された言葉で
目をじっと見つめて
存在を確かめている

どこにも行かないなんて
言い切れないはずなのに
ヨワクハナカイゲンジツに
僕らは寄りかかっている

痺れた足でダンスして
ぎこちない手で絡まって
曇った目で目配せして
曇りない心で受け止めて

今この時が全てさ
ゆっくりと確かな声で
馴染んだ手を取り合って
存在を噛みしめている

いつまでもいっしょだなんて
わかりっこないことなのに
ヨワクハナカイゲンジツを
僕らは信じていたいのだ

終わりがくるその時まで
気付かない振りをしよう
ムダと切り捨てられるような
くだらない遊びを続けよう


自由詩 ヨワクハナカイゲンジツ Copyright 葛西曹達 2010-12-18 00:46:24
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