ひとつ はずれ
木立 悟





ふいに終わる日
規則と壁の絵
路から径
灯と声の重なり
角から角
持たざる夜に
ひとつ わたす


棄てられた標の山を
風は昇る
地と空の雪
むすぶ波
真昼の紙
無人にはばたく


雨が
曇のなかだけに降り
音は陰から陰をゆく
午後の粒を踏み
跡を残す


光と干き潮
縦に切り取られた空がつづき
雨は はざまをぬうように
海から海へ
振り向くことなく


何も無いところに
ふとはじまる
境界を
常に流れる
うろおぼえの
みちすじ


群集の四方位
笑わぬもののなかの笑み
暗がりが作る枠を離れ
夜から朝への
花の群れに立つ


光の航跡
ふくらみを託して
雪あかり
ひとつの辺
長い影の先の先へ
標の手のひらを差し延べてゆく



























自由詩 ひとつ はずれ Copyright 木立 悟 2010-12-13 09:37:25
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