ブーツ仕分け
たもつ

 
 
ブーツを仕分ける
仕分けまくる

 「ブーツの仕分けに関する判断基準」(抄)
  第三条 良いブーツ(以下「良いブーツ」という。)は天国を歩ける
   ブーツとする。
  2 悪いブーツ(以下「悪いブーツ」という。)は天国を歩けないブ
   ーツとする。
  3 第一項及び第二項にある天国とは、「天国等の指定基準」第二条
   第一項に規定された天国をいう。

これ、天国を歩けるから、良いブーツ
これ、天国を歩けないから、悪いブーツ

ここは天国ではないので
人々は悪いブーツを履いて歩いている
走っている
止まっている
這いつくばっている
だからみんな、悲観することはないし
モヒカンにする必要もない
もちろん好みの問題だから
モヒカンにしても構わない
ここは天国ではないから
天国ではないのだから

ブーツを頭に被っても構わないし
ブーツをブー津と表記しても
ブートゥと発音しても構わない
ブートゥの山に埋もれて泣いていた人が
ブートゥをかきわけて、かきわけて
頭を出すときこそが
誕生の瞬間
だからもっと仕分けることができる
仕分けまくることができる

これ、良いブーツ
これ、悪いブーツ

中に蚊がいることに気づかず
ブーツを履いて四か所も刺された義理の弟は
昨晩、結婚してすぐ
新婦とともにブーツの山に埋もれて
泣き始めるのだった

これ、とても良いブーツ
これ、とても悪いブーツ

ブーツを仕分ける
仕分けまくる
でも、どんなに仕分けまくっても
ブーツを廃止することはできない
ブーツは入れ物だから
命を受け止める
小さな入れ物なのだから
 
 


自由詩 ブーツ仕分け Copyright たもつ 2010-12-11 15:09:29
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