ロスト・オール・センセイション虹色@街角ジャキジャキ
北街かな


陽が翳っちゃってからずっしり重くなった帽子をとってみたら、かみのけのあいだから煮詰まりすぎて変色した灰色の自意識が腐りながら落ちてきたよ肩から腕を伝ってどろどろぐちゃどろ、ひゃーっ

只、路上で何も考えず突っ立っていたのです
遙かのそらでは最上階展望室のマドが真四角のライトを零してて、ため息するほど綺麗に見えた、
ん です
貴女の笑顔みたいに偽悪的な虹色
ばったりと逝く瞬間にそらとまちが逆になるのがおもしろくてお腹が痛くて
大爆笑しようかなって手を挙げたら、全身を激しく打って気絶した。

駅員さんに、は、いっしょうけんめい、説明しました
たすけてください、藤原道長が満月型のクッションになって空中を平行移動しながら私の髪の毛を食べているんです、だから源氏パイを投げつけてやりましょう、どうぞ。
お菓子は欠けたところも無しと思えば、闘いは…
秒単位で変調し、最前線は膠着状態に入りました!

だいじょうぶ、だいじょうぶだ。この手に握った切符さえ放さなきゃ私は無事におうちに帰れる、大丈夫だ。
帽子を底までふかくかぶりなおし。
てらてら零れつづける自意識にキャップを締めるかんじで。キュッキュ
かみのけを拭いてからしゃんっと背を垂直に整え林檎を齧って手を掲げ、
横断歩道を渡ってゆこう!

ロスト・オール・センセイションいちめんの虹色

この大いなる交差点で我々は飼い犬から全自動洗濯機に進化する
莫大な情報を洗剤意識で洗いあげ意味も読み取れぬほど漂白しながら掻き回す
そうして無駄な言葉をジャキジャキ覚えてエアギターみたいに掻き鳴らしては爆笑してた

あのビルはそこまで背伸びをして。どんな遠くを見ようとしている?

首が攣るほど展望室は遙かそら、ベテルギウスの側まで浮きあがっているね
どうかな私のこの液化しちゃった自意識も共に乗せて地球外へと退避せしめてはくれまいか
…上手く言えないけど、ここはちょっと、彼女には辛すぎるよ。

ロスト・オール・センセイション交差する言葉を掻き鳴らして
頭が街角で爆発してゆく
目も当てられない悲しい病理
異常な感染力でバスの中までひろがっているよ
みんな虹色になっちゃえばもう怖くないですよね?
ビルがぜんぶ弾けてゆくのを、只、何も考えないようにして突っ立ったまま見てました。
だいじょうぶだ。大丈夫。


自由詩 ロスト・オール・センセイション虹色@街角ジャキジャキ Copyright 北街かな 2010-12-10 19:47:19
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