風のゆびさき
石瀬琳々
雲を問う風のゆびさき振り向いて頬をかすめる秋はひそかに
かなしみもよろこびもただ共にあれいとしいといってまだ青い林檎
まなざしに目を手のひらに指かさね日々を夢みる風さえつれて
我が愛は醸す美酒あのひとの淋しさに似た十月の葡萄
黄葉ひとつ木もれ陽ひとつこぼれ落ち落葉溜りに光るひといろ
かなしみとよろこび生きるこのこころ代弁してよねえ赤い林檎
Esperanza 目を瞠いて駆け抜けるあるいは風のわたくしの馬
風、風、風、やわらかく啼け永遠の胸をひらいて君を旅する
行き先は知らなくていいガラス越しくちづけるゆめ揺られて冬へ
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薊道