赤い船の着く堤防で
番田 


浮浪者にされた自分へと
眠ってしまおうと私は考える
意味ですらもない それは 海辺でのこと
睨み付けている 子供の瞳のようだった


防波堤でキャスターマイルドを放り投げ捨る
あの時の夢が また一つ 一つと 投げ出されていく
浮かびあがってはもみ消されていく
私は それを この頭の中で 見ていた


紡績工場の跡地を 後にする
車のウインカーを出しては アクセルを踏みこむ
春の新入社員の駅に向かう背中を見つめている
バーに寄るべきなのかもしれないと思った


何もない そんな 12月のこと
あの日 僕は コンビニ弁当を 投げ捨ててきた
マンハッタンの摩天楼が ぼんやりとそびえていた
きっと この位置でのできごとだった



自由詩 赤い船の着く堤防で Copyright 番田  2010-12-07 03:02:53
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