悲しみよ
シホ.N



悲しみよ腕の中へ
ぼくは
手首をかき切る覚悟で
彼らを
自分の腕の中へ
つかまえよう

悲しみよ腕の中へ
ぼくは
どんな人との関わりに対しても
独りをおそれたことはなかったけれど
ぼくとあのひとが
もう再びは出会わないということに対して
身も焼かれて果ててしまう思いだ
だからぼく
悲しみをこの腕の中へ
つかまえようとする

悲しみよぼくは
広い空や
家々の屋根や
電線やベランダなんかを眺めながら
手すりをのり超えてしまいそうなのさ

悲しみよ
ぼくは生きているが
いいのか

悲しみよ
この腕の中へ
ぼくは
夜明けの空に見守られながら
地面に血を散らす思いで
きみらをつかまえよう



自由詩 悲しみよ Copyright シホ.N 2010-12-07 00:24:39
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