『ピアニシモ』
あおい満月

忘れているものが思い出せない
そんな毎日が続いている

わたし以上に、
大切なものがあるような気がして
胸の奥が落ち着かない
賢明ながらも堕落した生活に終止符を打ちたい

十六夜に誓いをたてて閉じた扉を開けない朝がきても
目を開けないわたしがいるのはなんのせい

存在をなくしてしまった
わたしは静かに、
消えて逝くだろう

打ちつける雨が波打つ窓越しに

世界は雪のように白く見えない


                 平成二十二年十二月三日   


自由詩 『ピアニシモ』 Copyright あおい満月 2010-12-05 17:08:04
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