赤土の唄
佐々宝砂
私は素手で土を掘った
逆さ剥けから血がにじんだ
さらに掘り進むと爪が剥がれた
赤土は血を吸いながら悦んで湯気をあげた
肥ってはいるけれどゆがんだ芋虫が
私の掘った穴から這い出してきて
あのひとはそれを見て悲鳴をあげて
私を口汚く罵った
あのひとが掘れと命じた
金の鉱脈がそこになかったとしても
それは誰のせいでもない
私は芋虫をだきあげて子守唄をうたう
私は孤独ではない孤独ではないとおもう
赤土は今日も豊かに湯気をあげる
自由詩
赤土の唄
Copyright
佐々宝砂
2004-10-26 22:06:37