It's my life
花形新次

東京ドームで
ボン・ジョヴィのコンサートがあった
妻が息子、16歳になった息子と
二人で出かけた

妻は20年間
ボン・ジョヴィが来日するたびに
大喜びではしゃぎ回り
コンサートは欠かさず見に行った

息子は、自閉症の息子は
小学2年生の頃
一度だけピアノのコンサートに行ったことがある
耳を塞いで
うー、うーと呻くので
後ろの席のご婦人から
 ちょっと迷惑よ、と窘められた
 「無理だったね」
 「そうね」
初めからわかっていたけれど
妻の目には薄っすら涙が浮かんでいて
親子三人早々に切り上げて
二度とコンサートには行かないって
夫婦で誓ったっけ

それなのに今回は
妻が急に息子を連れて行くと言い出して
僕はすごく不安だったんだ
パニックを起こすことも少なくなったから
大丈夫と期待しつつも

夜遅く帰ってきた妻と息子は
とても満足そうで
 「この子イッツマイライフが好きでしょ」
 (知るもんか・・・)
 「それでね、イッツマイライフになったら
  大きな声で一緒に歌って、ずーっと笑顔で・・・」
そう言うと、やっぱり妻の目には薄っすら涙が浮かんでいて
 「この子の横顔ばかり見ていたわ
  ボン・ジョヴィよりもずっとハンサム!」

僕には一度も言ったことないじゃん・・・

 「次はスティングを見に行きたいわ!」
 (・・・・・まあいいか、
  でも何か過去の人・・・、まあいいか)











自由詩 It's my life Copyright 花形新次 2010-12-01 06:23:17
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