12月1日の夜に
桐谷隼斗

ことばにする前に果てしなく傷つけられていた 
もうことばにできないと思った 伝えることができない 
「意識」の前に死ぬことば
 「意識」した瞬間肉は裂け見えない血が噴き出す!
 仮面をかぶればいいよと街の女の子はいうけれど
どこにいる  
どこにある
わたし! 
視線を研ぐ 右手にペンを 左手に本を
つむぐ-ほろぼす
自分のために戦っているんだ
あの日言うべきだったことばは
白い墓地で眠っている!
脈打つ激しい地表 堰が 噴火する 純粋に 他者でなく やってくる 植物のような 弱い色 強いうねり
しなやかに回転する
巻き込め 自らを
誰でもない 声帯を震わせ
楽器になる 孤独はその時やわらかな夜の旋律となり張り裂けそうな胸から一枚の絵
題名「亀裂から溢れ出すもの」
闇ではない 愛そうとしている
光ではない 美化してはいけない
机の前で向き合うことが
辛い歓びと怒りの果ての落ち着き
歯がゆいな
裸のままで
産まれたいがために
虚飾していた自分は

君にすべてをぶつけようとしている
ときめきではなく 「死ね!」で伝えられるほど簡単な
感情ではなく
裸足で駆けた海岸線のように
無垢な叫び声で
飛ぶ

産まれる


自由詩 12月1日の夜に Copyright 桐谷隼斗 2010-12-01 02:48:47
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