せかいのせなか
せかいのせなか
花が枯れています
つまさきのところで花が枯れています
名前はわからないけれど小指ほどにちいさなのが何本も何本も
破った約束のような色をしています
ここはせかいのせなかなのだと
あなたが昔教えてくれました
砂は、あたたかい
風は、こわい
目の粗いはけで刷いたような夜明けの群青や
膝こぞうににじむ血の色をした赤い入り日
その下を流れるわたしたちは
どんどん透明になってゆきます
あなたごしに遠くがみえます
コウソウビルが建ちコウソクドウロが走っています
いつもよりすこし薄い雨がふります
薄い雨ごしに遠くがみえます
みんな地面にもぐって祈りをささげています
わたしの知らないうたがきこえています
点線に切り取られてはっきりとうたえないけれど
わたしたちの子供に教えてやりたい
つまさきがぼやけはじめて
約束は約束のまま
ずいぶんと細かくくだけていました
砂を風がはこんでいってしまいました
せかいのせなかで
わたしはときどきかなしい
明日はあなたの向こうに雨がふるでしょうか