せかいのせなか
せかいのせなか


花が枯れています
つまさきのところで花が枯れています
名前はわからないけれど小指ほどにちいさなのが何本も何本も
破った約束のような色をしています

ここはせかいのせなかなのだと
あなたが昔教えてくれました
砂は、あたたかい
風は、こわい

目の粗いはけで刷いたような夜明けの群青や
膝こぞうににじむ血の色をした赤い入り日
その下を流れるわたしたちは
どんどん透明になってゆきます

あなたごしに遠くがみえます
コウソウビルが建ちコウソクドウロが走っています
いつもよりすこし薄い雨がふります

薄い雨ごしに遠くがみえます
みんな地面にもぐって祈りをささげています
わたしの知らないうたがきこえています
点線に切り取られてはっきりとうたえないけれど
わたしたちの子供に教えてやりたい

つまさきがぼやけはじめて
約束は約束のまま
ずいぶんと細かくくだけていました
砂を風がはこんでいってしまいました

せかいのせなかで
わたしはときどきかなしい
明日はあなたの向こうに雨がふるでしょうか



 


自由詩 せかいのせなか Copyright せかいのせなか 2010-11-29 10:38:26
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