最悪の女
はだいろ

金曜日の朝、
職場の、派遣の女性に、ご飯に行きませんか?
と誘われて、
ぼくは、どぎまぎして、メアドを教えた。
しかし、
あとから後悔した。
派遣の女性スタッフは、十何人もいるので、
あのなかで、どうこうなんて、
じぶんが、価値が低くなったような気がする。
その人は、三十代後半で、
顔は美人とは言えないけれど、
身体つきはすごくエロい。
(それに、とても服装のセンスがいい。)
それで、週末で、ぼくの妄想は暴走し、
やっぱり、
付き合えません。
というところまで行って、
へとへとになった。


それで、
妄想ついでに、
あちこちのホームページを見比べて、
結局都内最安値みたいなお店に電話したら、
なんだかんだで値段は他の店と変わらず、
すぐ行きますなんて言ったくせに1時間も遅れ、
くる前に電話を入れろと釘をさしたのに、
いきなり来た女が、
ぼくの風俗史上最悪のブスだった。
もうぞっとするくらいで、
電気を消して眼をつぶって、
なめくじみたいにからだをなぞる感触だけを味わう?
いや、味あわない、
という、
おそろしい体験になってしまった。

それでも寒いというから、
ぼくは暑いくらいだったけれど、
毛布に入れてあげた。
顔は最後まで見ないようにしたら、
名刺を置いて行って、
はじめてのプレイばかりでした、
と書かれた字が、
妙にきれいだった。

派遣の女性とはけっきょくメールをやりとりし、
今週の金曜日に、
ご飯にいく約束になった。

そして、
なんだか寒気がするほどひどい体験だったので、
別の店の女の子を、
今また呼んでしまった。
給料なんて3日でパーだ。
ああ、
もしあの人と毎日ただでセックスできれば、
ぼくは余ったお金で、
レコードや本がたくさん買えるのかなあ。
なんて妄想が止まらない。










自由詩 最悪の女 Copyright はだいろ 2010-11-29 00:53:54
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