ギソク W島綺譚の章 
ハイドパーク

馬鹿にされた悔しさ
加速する暴走
先祖伝来の不動産 
有価証券
貴金属の類
すべて換金した

その金を持ち
北アフリカの
マラケシへ飛び
文字通りマラを消した
いや正確には
付け替えたと言うべきか

現代医学の最先端技術
シリコンインプラント
身体のあらゆる部分の
交換を可能にしていた

・・・・・・・・・
「久しぶり、松葉杖なんて
どこまで健常者から遠くなるの。
ツートンカラーのパンダミミズ
しょうも懲りんと、よう来たわね。
あんた新約聖書のコリント人?」

上記みたいな言葉攻め
ツンドラばばあが口にした時
リベンジが始まる
俺は自分から進んで
パンツをずり下げるんだ

「ぎゃあ 
ああああしああし
ばば化け物。」
奴は喚き散らす

「泣け、叫べ、そして見よ、ばばあ
29.5cm
甲高 幅広 5E
俺のオハイオ級原潜が
お前の不毛地帯に
無慈悲に沈む様を。」

・・・・なんてね
こんな台詞
早く言って見たいな

あれから数年が経っていた
方々探したけど
ばばあは見つかんない
勢いでやってもうたものの
日に日にモチベーションは
だだ下がりになっていた

当然ながら
一般ピープルとの性交渉は
あれ以来皆無
下手に近づいたら
十字架かざされて
聖水かけられちゃう

もう一回手術して
元に戻ろうかな

そうこう思っていると
頼んでた興信所がやっと
彼女の行方を探しだした
M県のW島にいるそうだ
W島はパラダイスアイランド
地元のエロ紳士達の
憩いの島だ


W島の波止場に着くと
数人の老婆達による
乗船客の取り合いが始まった
「兄ちゃん、しゃ社長、ええ娘がおるで。」
激しいバトル

えらいこっちゃ

目を疑った
その中に
あのババアがいたのだ
第一線を退き
客引きに転じたのか?

しかしこれはチャンス
俺はそそくさと近寄り
彼女の耳元に
「あんたが良いな。あんたとしたい。」
息を掛けながらツィートした
彼女は一瞬の躊躇の後
「わかった、熟女趣味やのね。
2万でどう?」
交渉は成立した

毒気のさっぱり抜けたこの老人
本当にあのばばあなのだろうか
俺のことも全く気づいていない様子
まあ
俺にしたら彼女は
ワンアンドオンリー
けど彼女にしたら俺は
何千本の1本にすぎない訳だし・・・

足の不自由な俺を
甲斐甲斐しくフォローし
木造2階建て古アパートの1室へ
誘っていった

薄暗い部屋に入ると
つけっぱなしのラジオから
「トイレの神様」が流れていた

続く


自由詩 ギソク W島綺譚の章  Copyright ハイドパーク 2010-11-28 21:31:05
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