甘い足
ヨルノテガム









音楽からバラの香りしてる
きめの細かい鍵盤は赤い淫らなストッキングをはいて
心をノックしてくる扉はドラムスの影を覆っている まるで。
琥珀の色をした酒 海のように揺らいで 満ち引きの無限を喜ぶ

鳥の遠い声を持った歌手が今日という日の
今という時間に魔術を用意していた
欠伸の次に涙が。それはいつものことだけど 涙が先に。
目を閉じると
地平線の上に
柔らかな甘い足、伸ばすでなく 折り畳むでもなく
薄青い空に絡みついて逃げようと。
雲の形をした手が 足の線に沿って指先が
触れるまえに ほどけて眠った
足の指それぞれ少し動いて
昨日と違った所へ行きたいワ 喰べたいワ、
眠りたいワ飲みたいワ をおしゃべりに囁く
運命のいたずらは
毛細血管の中を陽気に迷って
頬を赤らめる、または
フリをして見せた

バラのカタチをした心臓から
枝茎の、甘い足、枝と茎の なめらかな三角形や四角形、
MやWや終わりや始まりの、を恫喝し 撫でつけ、蹴飛ばして
噛みつけ 何が私の中でイコールとなって、=、ふたつの線、
未知の未来に向かって這いつくばらせ、ようとする

暗闇に暗いストッキングが森の橋となる舐める












 


自由詩 甘い足 Copyright ヨルノテガム 2010-11-27 21:40:00
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