空白 Ⅲ
曲がり屋レオン

空白を塗りつぶす
色を慎重に選び
枠からはみ出さぬように
息をつめて

私には絵を描く才覚などない
から
他人の描いた線画を
色で埋める

五十色入りの
色鉛筆の缶が私の器量だ
私には五十色分の
自由がある

いつか絵を描いてやる
必ず

その時のために
柔らかい芯の
黒い鉛筆を
尖らせる

空白がなくなった日
私の自由は五十色を
超えて空に飛び立つ
缶から溢れた五十本

色鉛筆も
持ち主の手から解き放たれて飛ぶ


自由詩 空白 Ⅲ Copyright 曲がり屋レオン 2010-11-23 16:31:22
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