ギソク 三日月の章
ハイドパーク

俺の足はでかい
29.5cm
甲高 幅広 5E
アメリカンならぬ
ジャップの身としては
ほとんど
フリーキーなレベル

反面
あそこはとても小さい
最大勃起時でも
7cmしかない
おまけに包茎ときている

ああせめて
小学校高学年ぐらいから
剥き癖をつけていたら
亀頭なりとも大人サイズに
成れたかもしれないのだ

悔やんでも悔やみきれない
お父さんも友達も
誰も教えてくんないんだもん(涙)

ある日のこと
青年マガジンの裏表紙で
タートルネックのセーターから
頭をチョッと出している
ボーイの広告を見て
包茎手術なる秘儀について
知ることになった

早速
近所の泌尿器科で
オペしてもらった
20,000円だった

しっくりくるまで
2ヶ月ほど待ち
街にある
セレブドールという
ソープランドに
新しい筆をおろしにいった

当然俺は
SD(素人童貞)だったが
まずプロに誉めてもらい
大いに自信を付け
その流れで素人と
事を成し遂げたかったのだ

その夜その店には
元女王様と言う
初老のギャルしか
あいておらず
しかたなく承諾したのだったが・・・

それが不味かったのだ

ババアはいきなり
俺のパンツをずり落とすと
あからさまに顔をしかめた後
失笑した

「兄ちゃん、そうまでして、せなあかんのか。」

世にツンデレという
接客スタイルがあるが
このばばあは
ツ ン ド ラ
永久凍土そのもの

「よう、そうまでしてやらなあかんのかって聞いてるんや。
金かけんと、何でもかんでも保険の範疇で済ませやがって、
おまえのん、ツートンカラーになってるやんけ。
おまけに百足みたいな傷痕が残ってんで。
ほんでチッサイなぁ、そんなんで感じるんか。
ええ、こんなん銜えろ言うんか。ええ加減にせいやボケ。」

吐きそうになった
良かれと思ってしたのに
なんか取り返しが付かないことに
なった気がした

カゴから服を取り上げ
泣きながら外へ出た

ちくしょう ちくしょう
馬鹿にして 馬鹿にして
もう嫌だ
もう嫌だよ
どうせ俺なんか

馬鹿の大足 間抜けの粗チンだ

その時
苦い涙でかすむ
夜空の三日月が
ブーメランになって
俺の脳髄に突き刺さったような
そんなインパクトを感じた

ある可能性が俺の心を
チュンと点火するやいなや
枯野を駆ける野火のように
メラメラと広がっていった
もはや俺は制御不能な
暗い情熱の虜と化していた

「やったる。やったるで。」

続く













自由詩 ギソク 三日月の章 Copyright ハイドパーク 2010-11-22 16:23:28
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