さようならの横顔
きりえしふみ
消失に見えて 絶えず繰り返しているもの
見えなくなったと見せかけて
心には根深く残っている
が 全く其処になかった……或いはないものとして
処理されているもの
そう処理され続けてゆくことで
小さなシミのように 容認されていってしまうようなもの
喉に刺さった棘である内は
もしかしたら 時間を巻き戻しできないまでも
取り戻せるかも 知れない 可能性を秘めたもの
それは許しと忍耐以外のなにものでもないが
根本に愛があるもの
自分よりも相手を思った上での行動が示すもの
さようなら さようなら
明日でも明後日でも
十年先でも 百年後であってもできるという選択
一秒後の発動が逃げか
死ぬまで保留するのが正解か
考える余地のあるもの
一度判を押すと撤回できぬもの
(結合は撤回できるというのに!)
冷ややかな熱
触れて離れる唇
ひとつにはなれない悲しさ
やり切れない心情
さようなら さようなら
僕は君こそと 手を切りたい
渇いた 『さようなら』よ
延々と僕に付き従うもの
至上の恋人より強力に
僕の心に鎮座し続けるもの
『さようならの横顔』
(c)shifumi kirye 2010/11/21