何か荒れ果てた
番田
黄色い目で
君は何を
群青色の瞳で
赤紫の紙きれで
君の瞼は
何を物語るのか
教授する瞬間
受注する瞬間
承る瞬間に
私に夕暮れ
子供に生唾が
唾液のように垂れる
氷山の氷が
崩壊する夕暮れ
紅色の飲料
琥珀色の飴玉
子供の笑み
私の感覚
十分な
価値観
感想
夢の色の絵の具が
確かに触れた私は
画用紙に季節の花を
一つ描いた時
水色の絵の具の色が
表面を微かに破る
麺の舌触りを知る
仮想の通信が私を
違う世界に誘う
何か
見る
時に
表現された芸術を知る時に
石膏像をデッサンする時に似て親しげだ
紙を持ちながら陰影を鉛筆でつける
消しゴムを使って キワを整える
二重瞼を 作るように
間にゴムの角を当てながら
流していた音楽を 消して
素朴な行為に集中するとき
素朴ではないことを思わないようにする
卵を扱う時のように
線香花火を持つ指先のように
ビルの窓を見ていると寂しい
光がそこに当てられている
雲が通り
日差しが刻々と色を変えていく
新宿から六本木へ
歩いていくときは そんな感じだった
いつも音楽を聴きながら通過した
2
朝はいつも人が流れる
列車に乗り
人が出かける
今日も無事を祈る 奥さんが
どこかで洗い物をしていて
私は家でファミコンをする
魚を釣って 釣ったような気になり
ベランダの夕暮れを見つめることだろう
浪人生と喫茶店に入り浸り
政治や何やらの話しをして
何もまとまらずに ドアを押す
ブックオフで立ち読みをすると
何かをした気になり
虫の命を思いながら 今日は 何だっただろうと
帰るのかも知れない
3
誰もいない部屋で
知らない匂いを
嗅いでいる時
匂いの世界を
蝶が羽ばたいている
バタフライと口にした
私は眠かった