一人でみていた
はるな


冷えてうまれゆく朝を
一人でみていた
生ぬるい夜を
壊される秋を
一人で

かなしみは
受け止めることも
受け流すことも
包み込むことも
捨て去ることもできない
そのかなしみは
誰にも貸したりしなくていい
かなしみをかなしむしか
できない
誰にも

遅くなってゆく朝焼けを
待ちきれずに
たくさんの人々が行った
人々がゆき
人々が来る
いつでも

じっと
それを一人でみていた
いつかは
一瞬の静けさをしるだろう
耳鳴りのするその静けさに
かなしみを放てばいい
それはゆるく絡まって
朝と夜とを繋ぐだろう
その境目に日がのぼり
人々は今日をみるだろう

その過程を
一人でみていた
あざやかなかなしみに
ずたずたになりながら




自由詩 一人でみていた Copyright はるな 2010-11-18 04:42:28
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