境界線
さつき

私の世界は曖昧だ。



紫色の朝焼けに家を出る時、
青い夜と赤い朝の暗い光に照らされる。

同じ顔と同じ服の人の中
灰色の箱で機械をいじり
大量生産の一翼を担う。
同じ表情と同じ口調で
毎日同じことを話して
自分も大量生産の産物と知る。

そして、緑色の夕焼けに帰って来る頃、
私はまた光と闇の狭間にいるのだ。



青い空も白い雲も
私には温かく映るけれど
時に色を無くしては
私の足先を凍えさせることがある。

灰色の箱も大量生産の産物も
無味無臭で温度がないはず
なのに時にひとの温もりをもって
私の肩をひどく揺さぶることがある。



どこから内でどこから外か。


どこまでこちらでどこからあちらか。


どこまで私でどこまであなたか。



鮮明な線で明確に
区切ることができない世界に
私は生きているようだ。


自由詩 境界線 Copyright さつき 2010-11-14 21:37:49
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