くさり火
砂木
やすりをかけ
ちりちりと落とした窪みに
たたずめば 格子が黒く
白い障子が ざわざわと打ち寄せる
張り紙に のびた犬歯
月の輝きが あぶりだす獲物
小鳥は眠り
掌に責める火を 舐める油
夜毎 ほだされる花瓶
とっくに しみになった花の
茎の匂いが
苦く 黒髪を燃やす
爪を 解き開き
自由詩
くさり火
Copyright
砂木
2010-11-14 21:27:53