田舎のスーパーマーケット
豊島ケイトウ

いつの日か漂着しなければならない比喩を
前もって鑑賞されていない博物館が生み出された由は
ある地層に転換して僕達の無知だと言える

いらないいらないそんなゴミより
確かに愛せる媒体を確保してくれ今すぐ

僕は君をいだきたくなんかなくて
もっと罵り合う卵を孵化させてしまおうと企てる
憐れなしかし聡明なカモメ紳士の気は確かだと思うが

とはいえ一体誰がなんの標榜でこの世界をセックス的堕落へ
導いているのかそれは紛れもない君だろ

君の醜くてよだれまみれのそれから赤黒い嗚咽が聞こえる

僕達は眼を背けることをしない代わりに自己韜晦を繰り返し
続けていくのであるどかどかと土足で上がり込む海綿の集団を
懸命に振り払いながらもうどうしようもない居場所まで
来てしまっている子供に返ろうこれからずっと

ずっと

黎明の手触りをドレープでひしめくカーテンから搾取する恩恵に
与るのは君でもキミでも勿論僕でもない誰かだ

パイロットに選出されたからって何になる人類が
こんなにも喘いでいるというのに神々の視線を一身に浴びつつ
ある乞食は呟くだろう五年後あるいは五十年後に

明るい未来を喰らう楽しみさえ失った客室係が泣く泣く
見る情景を知っているか
それは田舎のスーパーマーケットに恐ろしくよく似ている


自由詩 田舎のスーパーマーケット Copyright 豊島ケイトウ 2010-11-11 11:29:40
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